ICD-11と制度改正をめぐる懸念

結論:支援が狭く解釈される可能性が懸念されています。

現時点で、発達障害者支援法の対象から場面緘黙が外れるといった決定はされていません。

しかし、ICD-11への改訂や制度の整理の方向性によっては、これまで広く考えられてきた支援の対象が、より限定的に解釈される可能性があるのではないかという懸念が指摘されています。

何が変わろうとしているのか

ICD-11では、場面緘黙は「不安または恐怖関連の障害」に分類されました。

一方で、自閉スペクトラム症やADHDは「神経発達障害群」に整理されています。

この分類の違いを背景に、「発達障害」を神経発達障害群に限定して捉えるべきではないかという考え方が一部で示されています。

その考えが意味するもの

もし「発達障害」を神経発達障害群に限定する形で制度が整理された場合、場面緘黙のように不安が強く関係する状態は、現在とは異なる位置づけになる可能性があります。

これは直ちに支援がなくなるという話ではありませんが、「発達障害者支援法の対象」としての扱いが変わることで、支援の説明や理解が難しくなる可能性があります。

すでに指摘されている懸念

ICD-11への改訂を踏まえた報告や議論の中では、場面緘黙などが支援の枠組みから漏れるのではないかという懸念が示されています。

もともと発達障害者支援法は、既存の制度の谷間にあった人たちを広く支えるために作られた法律でした。

その理念から考えると、対象を狭く解釈する方向は、本来の目的とずれてしまう可能性があります。

誤解しないために大切なこと

ここで大切なのは、「分類が変わった=支援がなくなる」という単純な話ではないということです。

医療上の分類と、法律や制度の運用は必ずしも同じではありません。

しかし、分類の変化が現場での理解や判断に影響することは十分にあり得ます。

そのため、制度の背景や考え方を正しく理解しておくことが重要になります。

現場で起こりやすい問題

制度上は対象であっても、

  • 「発達障害ではないから対象外では?」と言われる
  • 説明しても理解されにくい
  • 合理的配慮の必要性が伝わりにくい

といった形で、支援につながりにくくなるケースがあります。

これは制度そのものの問題というよりも、制度の理解のされ方によって生じる問題です。

今後に向けて

制度は社会の中で少しずつ変化していきます。

その中で大切なのは、「どの分類に入るか」だけでなく、「どのような支援が必要か」という視点を失わないことです。

発達障害者支援法が本来持っていた「支援の谷間を埋める」という考え方が、今後も維持されることが重要だと考えられます。

まとめ

  • 現時点で場面緘黙が法の対象から外れる決定はない
  • ICD-11では分類上の位置が変わっている
  • その影響で、支援の対象が狭く解釈される可能性が懸念されている
  • 制度の理解のされ方によって、現場で支援につながりにくくなることがある

さらに詳しく知りたい方へ

制度や分類だけでなく、実際の支援の現場ではどのような配慮や関わりが行われているのかも重要です。

具体的な支援の方法については、別の記事で紹介しています。

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場面緘黙は、学校や集団生活の中で、発話だけでなく行動全体に影響が出ることもあり、明確に支援や配慮が必要となる状態です。

そのため、分類の違いによって支援の必要性が見えにくくなることは望ましくないと考えています。

参考資料

・発達障害者支援法(e-Gov法令検索)
・発達障害者支援法施行規則(e-Gov法令検索)

発達障害者支援法改正に伴う懸念の根拠
・ICD-11の改定における発達障害の位置づけについて
 (2013年 厚生労働科学研究成果 医療関係者へのアンケート調査)
・東京都福祉局 「発達障害者支援ハンドブック2020」

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