場面緘黙は、家庭や安心できる場では自然に話せても、学校や園、職場など特定の場面では話すことが難しくなる状態です。
機能的には話すことができるにもかかわらず、不安の強さによって、話したくても話せなくなることがあります。
そのため、自ら話さないのではなく、話せない状態として理解することが大切です。
まずは、どのような状態なのかを正しく知ることが、理解や支えの第一歩になります。
どのような様子が見られるのでしょうか
場面緘黙のあらわれ方は一人ひとり異なります。
たとえば、
- 学校では話すことだけでなく、給食やトイレなどの行動にも強い緊張が出る
- 学校では先生や友達と雑談はできないが、発表や音読はできる
- 学校ではまったく話せないが、校外では友達と話せる
このように、困りごとの形はさまざまです。
一部にできていることがあっても、困りごとが続いているなら、様子を見るだけでよいとは言えないことがあります。
話すことだけではない困難
場面緘黙は、話すことだけの困難とは限りません。
不安が強い場面では、返事をする、助けを求める、自分の気持ちを伝えることに加えて、表情が乏しくなる、体が固まる、書くことや描くことが難しくなるなど、自己表現全体に影響が出ることがあります。
こうした様子は、本人のやる気や態度の問題ではなく、不安のあらわれとして理解することが大切です。
診断基準の考え方
場面緘黙の診断では、一般に次のような点が重要とされています。
- 他の場面では話しているにもかかわらず、話すことが期待される特定の社会的場面で、一貫して話すことが難しい
- その状態が、学校生活や対人関係などの妨げになっている
- 一時的な緊張ではなく、一定期間続いている
- 言葉を知らないことや、機能的に話せないことだけでは説明できない
- 他の状態だけで十分に説明されるものではない
なお、実際の診断は医療機関などの専門的な判断によって行われます。
【静岡 場面かんもくの会】では、似た相談との混同を避けるためにも、こうした基準の考え方を知っておくことは大切だと考えています。
他の特性や困りごとと併存することもあります
場面緘黙のある人の中には、他の発達特性や不安の強さ、学習面や感覚面の困りごとなどがあわせて見られる場合もあります。
そのため、困りごとの背景を一つに決めつけるのではなく、どこに主な困難が出ているのかを丁寧に見ていくことが大切です。
支援にあたっては、その時点で本人の生活を最も妨げている困りごとを見極めながら、必要な支えを考えていくことが求められます。
よくある誤解について
場面緘黙については、今でもさまざまな誤解があります。
- おとなしいだけで、そのうち話せるようになる
- 家庭で甘やかされたり、過保護に育てられたりしたのではないか
- わざと黙っているのではないか
- 本人がもっと努力すべきではないか
- 話すように促した方がよいのではないか
こうした受け止め方は、本人をさらに追い詰めてしまうことがあります。
責めたり急かしたりするのではなく、不安の背景を理解し、必要な配慮と支えを考えることが大切です。
さらに詳しく知りたい方へ
場面緘黙についての基本的な理解に加えて、
- 支援の進め方を知りたい
- 保護者としての関わり方を考えたい
- 学校での対応について知りたい
- 制度や社会的な位置づけを知りたい
といった方は、次のページから必要な内容を選んでご覧ください。
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参考文献
・American Psychiatric Association (2013). Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition.
・Angela E. McHolm, Charles E. Cunningham, Melanie K. Vanier (2005). Helping Your Child with Selective Mutism.
・河合英子・吉原桂子 共訳(2007)『場面緘黙児への支援』田研出版
・高橋三郎・大野裕監訳(2014)『DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引き』医学書院
