保護者の方へ|場面緘黙の理解と関わり方

家では自然に話しているのに、学校や園では声が出ない。 本人が困っていることは分かっても、 どのように関わればよいのか迷う保護者の方は少なくありません。

すぐに正解を見つけたり、家庭だけですべてを解決したりする必要はありません。 まずは本人がどのような場面で困り、 どのような条件なら安心しやすいのかを、 少しずつ整理するところから始められます。

大人と子どもが穏やかに寄り添うクレイ調のイラスト
保護者だけで、すべてを抱え込まなくて大丈夫です 本人の様子を見ながら、必要な人と一緒に考えていきます。

保護者の方に、最初にお伝えしたいこと

場面緘黙は、本人がわざと話さない状態ではありません。 家庭では話せても、学校や園など不安や緊張の高い場面では、 話すことや自己表現が難しくなることがあります。

家庭で自然に話している姿と、学校で固まっている姿が大きく異なるため、 保護者と学校で見えている状態が一致しないこともあります。 どちらかが間違っているのではなく、 場所や相手によって状態が変わること自体が、場面緘黙の特徴の一つです。

家庭で話せることを理由に、 「学校でも本当は話せるはず」「本人の気持ち次第」と考える必要はありません。

家庭を、安心できる土台にする

家庭は、本人が緊張を下げ、自分らしく過ごしやすい大切な場所です。 家庭でのすべての会話を練習に変えたり、 話せたかどうかを毎回確認したりする必要はありません。

まずは、安心して話し、遊び、休むことのできる時間を守ります。 そのうえで、本人の心身に余裕があり、 本人も「少しやってみてもよい」と思えるときには、 今できていることを土台にした小さな取り組みを考えることができます。

大切にしたいこと

安心して過ごせる時間

話す練習だけを優先せず、 家庭で気持ちを緩められることを大切にします。

確認したいこと

本人の心身の余力

学校生活だけで消耗しているときは、 取り組みよりも休息や環境調整を優先します。

進めるときに

本人の納得と意思

周囲だけで目標を決めず、 本人がどう感じているかを確かめます。

無理に話させない。でも、困りごとをそのままにしない

急に発話を求めたり、人前で試したりすることは、 不安を強める場合があります。 本人がまだ難しいことを、励ましだけで乗り越えさせようとする必要はありません。

一方で、本人が話したり反応したりしなくても済むように、 周囲がすべてを代わり続けることが、 長い目で見て本人の助けになるとは限りません。

大切なのは、できないことをそのまま求めることではなく、 本人ができる形まで課題を小さく整えることです。

1

今できていることから始める

声だけでなく、うなずき、指差し、筆談など、 現在可能な方法も確認します。

2

条件を一度に変えない

相手、場所、行動のすべてを難しくせず、 どれか一つだけを少し変えます。

3

小さな変化を繰り返す

一度できたらすぐ次へ進まず、 同じ条件で安心してできるまで繰り返します。

家庭で整理しておきたいこと

すぐに練習を始める前に、 本人が話しやすい条件と難しい条件を具体的に整理します。 この情報は、家庭での関わりだけでなく、学校との共有にも役立ちます。

  • 相手 誰となら話せるか、誰の前では緊張が高くなるか
  • 場所 どこなら安心できるか、どの場所で動きにくくなるか
  • 活動 遊び、食事、授業、外出など、参加しやすい活動は何か
  • コミュニケーション手段 声、ささやき、うなずき、指差し、筆談など、何が可能か
  • 困っていること 発表だけでなく、助けを求めることや意思表示に困難がないか
  • 安心につながること どのような人、言葉、見通し、環境が助けになっているか

「話せる・話せない」だけで分けるのではなく、 少しならできることや、条件によって変わることも記録します。 その違いの中に、次に考えられる小さな一歩が見つかることがあります。

家庭と学校で、子どもの様子を共有する

家庭では自然に話していても、 学校や園では強く緊張し、 話すことや意思表示が難しくなる場合があります。

一方で、学校で見えている困りごとを、 保護者が十分に把握できていないこともあります。

家庭と学校で、それぞれの場面で見えている様子を具体的に共有することで、 本人に合った環境調整や支援を考えやすくなります。

家庭から伝えたいこと

  • 家庭でできているコミュニケーション
  • 本人が安心しやすい相手や活動
  • 緊張が高まりやすい場面
  • これまで有効だった関わり方
  • 本人の希望や困りごと

学校に確認したいこと

  • 授業、休み時間、給食など場面別の様子
  • 発話以外の意思表示や参加状況
  • 友人関係や一対一での様子
  • 体調不良や助けを求められているか
  • 学校内で使える場所や支援体制

家庭と学校のどちらか一方だけで支援を進めるのではなく、 それぞれが把握している様子を共有しながら、 本人に合った目標や関わり方を一緒に考えていくことが大切です。

保護者も、支えられてよい存在です

子どものことを考えるほど、 「自分の関わり方が悪かったのではないか」 「もっと早く何かできたのではないか」と、 自分を責めてしまうことがあります。

また、周囲に状態を理解してもらえないことや、 学校とのやり取りが続くことによって、 保護者自身が疲れてしまうこともあります。

子どもだけでなく、保護者にも、 気持ちや状況を整理できる場所が必要です。

同じような経験を持つ保護者の話を聞くことで、 すぐに答えが出なくても、 自分たちだけではないと感じられることがあります。

【静岡 場面かんもくの会】では、 無理に発言したり、積極的に活動へ参加したりすることは求めていません。 必要な情報を読みながら、 ご自身のペースでゆるやかにつながっていただけます。

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